どうもうしぐまです。
JPモルガン、シティ、ウェルスファーゴの決算が出てきましたね。数字が想定より良いことや、純粋に金利上昇の恩恵が大手銀行には生じることで今後の業績が上向いていきそうです。
皮肉なのがSVBの破綻の引き金となった米国の金利上昇が、さらに中小銀行からの預金引き出し、大手銀行への預金集中により規模の大きい銀行の業績を改善していることですね笑
今回の目次は以下です。
- 大手銀行決算に関連するコメントをまとめていく。
- 大手vs中小の対立軸で考える。
それでは行ってみましょう。
大手銀行決算に関連するコメントをまとめていく。
大手銀行の決算をつぶさに見るのもかなりえげつないですね。
ひとまずコメントをまとめて全体感を把握していきます。
JPモルガン
- 通期の純金利収入見通しを引き上げ
- 1-3月の純金利収入は49%増の207億ドル、予想を上回る
- 通期の純金利収入見通しを810億ドルに引き上げ(1月時点予想は730億ドル)
- 3月末の預金残高は2兆3800億ドル、昨年12月末から2%増加
- 不良債権引当金を11億ドル積み増し
- 債券トレーディング収入は前年同期から変わらず、株式トレーディング収入は12%減
- 調整後経費のガイダンスは1月時点の約810億ドルを据え置いた
- 1-3月の金利外費用は201億ドルでアナリスト予想を下回る
シティグループ
- シティグループの1-3月期決算で利益が市場予想に反して増加
- 債券トレーディングが好調で過去10年間で3番目の好成績
- 予想外に4%増加し45億ドルのトレーディング収入
- 貸倒引当金が20億ドルに増加、2020年以来の高水準
- 預金は変わらずの1兆3300億ドル
- 純利益は7%増の46億ドル、調整後の1株利益は1.86ドルで予想を上回る
ウェルスファーゴ
- ウェルズ・ファーゴの純金利収入が市場予想を上回る
- 米利上げによる好影響が続く
- 1-3月期の純金利収入は前年同期比45%増の133億ドル
- 貸倒引当金総額は12億ドルで、アナリスト予想を上回る
- ウェルズ・ファーゴがファースト・リパブリック・バンク支援に50億ドル負担
- 2023年の純金利収入および非金利経費の見通しを据え置いた
- 不良債権引当金を6億4300万ドル追加、貸し倒れ償却が増加
すべてに共通している傾向として、金利の収入が想定より大きくなっていることと、貸倒引当金が増加していることです。また、どちらに関してもアナリストの予測は過少評価しているということも見えてきます。
大手vs中小の対立軸で考える。
米国の銀行で起きていることは、中小規模の銀行から預金の引き出しが発生し、大手銀行の口座開設の増加と預金の増加が生じています。
国内の銀行でもそうですが、大手銀行の取引先は基本大口の顧客が多いです。というのも、大手銀行は一人当たりの行員の賃金も高く、小口の顧客の対応をするよりも、同じ手間で大金が動く大手の顧客を相手にビジネスをしないと収益とコストの関係上ペイしなくなってしまいます。
2022年から始まった中央銀行の利上げの影響で今回注視しないといけないのは、キャッシュフローが不安定でこの10年近くの低金利環境の借り入れで事業を動かしていた中小企業や、高リスク投資として出資を受けていたスタートアップ系のビジネスなのではないかと感じています。
実際にマーケットも大型企業向けの株価の指数と中小型向けの企業の株価指数はSVB銀行の破綻のタイミングからの戻りが全然違います。


大型企業向けの株価指数は何事もなかったように戻している。


中小型向けの株価指数は債券の利回りと同じように下落した水準を維持している。
債券側のプレイヤーや中小型系の銘柄のように大型株よりも先行して株価が下がりがちな部分は景気悪化を織り込んで動いているように見えるのですが、、、VIXはここ1年で最低水準に下がる。

これは何が起きているのでしょうか。米国経済は堅調で景気後退は起きないって話を受け止めて動いているのは大型株価の指数だけなのですが、逆にそこの動きだけは本当に強いままです。市場の予測が参加者毎に大きく割れている状況なのでしょうか。
NFIBの中小企業向け信用状況指数を見てみる。
NFIBの中小企業向け信用状況指数とは、利用可能な中小企業向けのローンがどれだけあるかを示したもので、NFIBのレポートからそのグラフを引用すると次のようになっています。

明確に貸付額は減少しており、立場が弱い企業ほど資金を獲得するのが難しくなっている状況が悪化しているように見えますね。
中小企業が見る経済の先行きに関しても水準はとんでもなく下がっていますね。面白いのがSoftの項目は異常にさがっているのに、Hardの項目はいまだに高いんですよね。

金融緩和を進めて、引き返せないほどお金をジャブジャブにした結果、もともと金融資産を持っている人が有利な状況になり、引き締め局面で中小企業のような比較的弱い立場の人から不利な状況になっているのはなんとも悲しいことですね。
IMFのレポートがかなり慎重になるのに対して、米国政府などは景気後退を否定し、悲観的すぎることを主張している構図も見ていてなかなか面白いです。
日銀の金融政策、緩和バイアスを中立に変更を-IMFサルガド氏
こんな記事も出ていて、IMFのスタンスの変化も少し気になるところですね。
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