どうもうしぐまです。
BTFPってのはバンク・ターム・ファンディング・プログラムで、2023年3月12日にFRBが発表したプログラムですね。
最近の市場は悪いニュースが出たり、信用不安があって債券利回りの低下、金価格の上昇など、リスクオフの動きをしている割には株価がそこまで落ち込んでいないって状態に見えます。
FOMCどうなった?SVB破綻後、何もなかったと言う株式指数
うしぐまの考えでは、この動きの背景にあるのが金融危機の発生を防ぐための銀行の救済措置ではないかと考え、今回BTFPとは何か、それによって起きている事象や問題点は何かについて考えていきます。
こんな風刺画みたいなのが出回っても仕方ないかと感じる状況です。

今回の目次は以下です。
- BTFP(バンクタームファンディングプログラム)って具体的にどんなものなの?
- このプログラムって結局QE(量的緩和)と何が違うの?
- このプログラムで起きることについて少し考えてみる。
それでは行ってみましょう。
BTFP(バンクタームファンディングプログラム)って具体的にどんなものなの?

一次情報のソースはちゃんと掲載したうえで、自分なりに要点をまとめます。
とりあえず翻訳かけてみても何のこっちゃ??って人が多いのでこのあとにまとめます。↓翻訳
- プログラム:米国の預金機関に流動性を提供するため、各連邦準備銀行が特定の種類の証券を担保として、対象となる借り手に前払いを行う。
- 借り手の適格性:米国の連邦政府保険付き預金機関(銀行、貯蓄協会、信用組合を含む)や外国銀行の米国支店・代理店で、主要な信用が認められている者(12 CFR 201.4(a)を参照)が、プログラムの対象となる。 適格担保:連邦準備銀行がオープンマーケットで購入可能な担保が適格担保に含まれる(12 CFR 201.108(b)を参照)。ただし、その担保は2023年3月12日までに借り手が所有しているものとする。
- 前払い金額:前払い金額は、適格借り手が提供する適格担保の価値に制限される。 金利:期間前払いの金利は、1年物のオーバーナイト・インデックス・スワップ金利に10ベーシスポイントを加えたもので、前払いが行われる日に期間の金利が固定される。
- 担保評価:担保評価は額面通り。マージンは額面通りの100%。 前払いの返済:借り手は、いつでも(再融資の目的を含めて)前払いを返済することができ、ペナルティは課されない。 前払い期間:前払いは、最長1年間の期間で適格借り手に提供される。
- 手数料:プログラムに関連する手数料はない。 財務省による信用保護:財務省は、為替安定化基金を利用して、連邦準備銀行に対しプログラムに関連して250億ドルの信用保護を提供する。
- 追証:プログラムに基づく前払いは、担保を超えた追証を適格借り手に行う。
- プログラム期間:プログラムに基づく前払いは、少なくとも2024年3月11日まで申請することができる。
要するにSVBの破綻などを受け、
銀行とかが持っている含み損が大きくなっている米国債券を、時価ではなく額面金額で担保として扱ってお金を貸し出しますよと。そうすれば損がある米国債券を売らないで、預金の払い出しに対応できるし、破綻もしないでしょってことなんですね。
ここに関しては以下の記事のなんで破綻したのか?を見てもらうとわかりやすいかもです。
えっ、だったら銀行は、持っている資金で限界まで米国債券に投資して、損が出ても全部この担保にしてお金借りていれば無限に稼げちゃうじゃん。(担保対象債券は、2023年3月12日までに保有しているもので、プログラム期間は2024年3月11日までなのでそこまで単純ではないですが笑)
このプログラムって結局QE(量的緩和)と何が違うの?
まずはFRBのバランスシートの変化を見てみましょう。

うわ、、、この半年QTを行うことで、米国中央銀行が米国債券を新しく買わないようにしながら減らしてきたBSの総資産が一気に戻ってますね。。。そりゃ株価は上がるわ。。
前述のBTFPでやっていることって、銀行が100円で買った債券の価値が80円まで落ちてしまいました。それを見たFRBがその80円の債券を担保に預けてくれたら、100円を貸しますよって話なんですよね。(めっちゃざっくりな理解です。)
そもそも、FRBの量的緩和で資金が余って、銀行が融資だけじゃなく、米国債券に投資をしていたのに、そこに含み損が出ていて破綻しちゃ困るから、その債券を担保に額面分の資金を貸しますよって、マジか??って気がします。
(債券の性質上、デフォルトしない場合満期まで保有すれば価値は額面に収束するから、どんなに貸し付けても誰も損はしないよねって話なんでしょうが。であれば、リスクを考えないでとにかく金利が低いところでお金を借りて、債券を買うだけで稼げてしまうって話なので、SVB銀行破綻の原因である過剰なリスクテイクを推奨しているように見えてしまう気もします笑)
これしかも含み損が出ている原因ってFRBの急激な利上げなんですよね。
ちなみにBSの増え方がどれ位急かを示す画像が以下です。市場全体の資金量が全然違うので、一概に比較はできませんが、絶対的な金額でいくとリーマンの時と同じの増え方で驚きます笑

個人的には、スキームは違うものの、やっていることQEと同じじゃないの??ってことは同じ副作用につながりうるのでは??って印象ですね。
このプログラムで起きることについて少し考えてみる。
なるべくフェアに見るために良さそうな効果と、悪そうな効果に分けて考えてみましょう。
- 良さそうな効果
銀行が破綻しなくなるので、金融危機はひとまず防げそうですね。預金の引き出しが起きたとしても、保有している米国債券を担保にして資金を調達すれば応じることは可能ですし、破綻もしません。
今後インフレも落ち着いて、特に悪いニュースも起きない場合、個人を不安や不信を取り除きつつ、経済の状態を安定した状態に戻していくことが期待できます。
- 悪そうな効果
米国のインフレの再加速ですね。BTFPで借りたお金を銀行がどう使うのかって話はありますが、もともとの量的緩和で市場にばらまいた資金量ではインフレが起きていたわけで、改めてばら撒く形になればまたインフレが起きるよねっことかと思います。
銀行側のモラルハザードの発生。結局金融危機を起こさないように、いくらでもお金ばらまくんだなってみんなが思ってしまうことも危険かと感じます。これは銀行だけでなく、市場の参加者もとりあえずリスクをとっていても、本当に危険そうなら中銀が助けてくれると錯覚してしまうのではないかと考えてしまいますね。コロナショックとかはその前例ですよね。
- まとめ
米国の中央銀行は利上げを続け、QTも続けている中でQEに近い効果を持つ資金繰りに関する支援も行っています。逆に言えば、このような矛盾した政策をしないといけないほど、実はすでに金融システムには亀裂が入り始めていると考える人が出てくるのは当たり前な印象です。
その結果が急激な債券利回りの低下やMOVEインデックスの高い水準などにつながっているんでしょうね。これでインフレが加速して、さらに利上げも続けるならばもうやっていることわけわからない状況になりそうです笑
月末のPCEの発表も見ながらですが、下記のPCEnowとかも注視していきましょう。ドルの価値や金の価格なども注視しましょう。(なんかどっかの国の政治家みたいですね笑)
ドイツ銀行の株価の件もありますが、何か悪そうなニュースが1つ起きるだけで、いつでもパニックに陥ることができる市場になっている気がします。
US Cleveland Fed Inflation Nowcast: PCE | MacroMicro
最後まで読んでいただきありがとうございました。
↓ブログ更新の励みになりますので、ポチっと押してもらえたら本当にありがとうございます。