【知識】投資のスタイルと手法。デイトレ、スイング、長期投資? -後編-

前回の前編記事の続きです。

前編見てない方はこちらです。

前回記事では時間軸と投資判断の基準という形で投資スタイルと手法について説明してきましたが、今回の記事では投資手法のでも前編より細かい分類の話をしていきます。

目次は以下です。

  • ファンダメンタルズ投資の分類の中でより細かいスタイルの分岐
  • テクニカル投資に近い分類でメジャーなスタイル
  • 業種別投資、テーマ株式投資
  • 大型株、小型株の分類
  • まとめ

ファンダメンタルズ投資の分類の中でより細かいスタイルの分岐

まずここではバリュー投資、グロース投資について説明していきます。ここではわかりやすさを優先して、この2つの手法が注目している項目を対比関係で説明します。

~バリュー投資~

この投資手法は企業のBS(貸借対照表)の時価評価額や、一時的な損益などを除いた現在の事業活動から生み出している利益額と、いま取引されている株価を比較して企業価値が割安である銘柄に対して投資していく手法です。

バリュー投資について理解するためにはPBR(※1)という指標の考えた方と、会社の決算書における帳簿上の価格と、実際に資産が売買されるときにつけられる値段である時価評価の概念の違いを理解することが重要です。

細かい説明をしていくと、それだけで1つの記事が書けるような内容なのでここでは割愛しますが、一般的にはPBR1倍を割り込んでいるかが1つの目安とされることが多いです。とはいえ、事業の業種ごとの特徴によっても水準が変わるため、同業他社を複数社見て、業種としての水準値を把握したうえで活用するのが望ましい指標です。

基本的にはPBRの数値が低い(1より小さい)企業が割安株と判断されますが、PBRの数値が低い企業には知名度などがなく本業の業績に対して企業価値が低い株もあれば、本業に問題を抱えており、今後赤字が発生する可能性が高い企業も存在するため、財務諸表を正しく理解できる知識を前提とした手法です。

~グロース投資~

バリュー投資がいまの企業が保有する資産の時価評価額や、いま生み出している利益額を見るのに対して、グロース投資はその企業の事業の成長性(将来どれくらいの稼ぎを生み出すか)に注目して投資していく手法です。

ですので、売上成長率や利益率の変化に注目して投資判断し、グロース投資においては売上高成長率やROE(※2)に注目して投資が行われます。

実際の事業の性質上、売上高の急成長が生じやすく、事業の変動比率が低いIT系のビジネスや、ブランドが強く利益率が優れた企業などがグロース株であることが多いです。

売上高成長率が高く、利益率が高い企業は基本的にPER(※3)の数字とROEの数字が高くなりやすいため、PERとROEの積であるPBRが高い傾向にあります。

そのため、自然とバリュー投資とグロース投資は対照的な投資手法として語られることが多く、実際の市場でもグロース銘柄が強い相場、バリュー銘柄が強い相場といった局面が存在しています。

用語説明:

※1 PBR 株価純資産倍率

株価/1株当たり純資産額 または、 純資産額(帳簿額)/時価総額で計算できます。

その企業が持つ資産-負債である純資産額と、いま市場で付けられてる会社の価格である時価総額の比率であり、BS上の額であらゆる資産負債を現金に換金できると仮定したときに、純資産額はその企業の現金価値と考えらえるため、この現金価値>時価総額、つまりPBRが1より小さい場合は割安であるという1つの目安があります。

とはいえ、BS上の資産には例えば製造業における生産設備や、M&Aの対価の差額として計上されるのれんのように帳簿価格をそのまま現金に換金できないものが多いため、計算式通りのPBRはあくまで一つの目安にすぎません。

※2 ROE 株主資本利益率

当期純利益/純資産額 で計算できます。

その企業がBS上の純資産額(株主が出資した原資とその企業の利益の累計額の和)を使ってどれくらいの利益を生み出せているかの指標です。売上高に対する費用が少ない利益率が高い企業でも、事業活動に使っている資産規模に対して、売上高の金額が少ない企業や、売上高につながらない資産を多く保有している企業は数値が小さくなってしまいます。株主にとっては、出資したお金からどれくらい効率よく企業が利益を生み出しているかの指標ですので、重視されることが多いです。

※3 PER 株価収益率

株価/1株当たり当期純利益 または 時価総額/当期純利益で計算できます。

この指標は倍率で表示されますが、うしぐまはその利益額が何年あればいま取引されている企業価値分の稼ぎを生み出せるのかと考えています。

例えば、PERが20倍ならば、単利で考えた場合に20年あれば元本を稼げるので、1年あたりの利回りは5%と考えることができます。(あくまで利益額が変動しないという前提ですが)

こう考えることで、その時のリスクの低い債券の利回りとも比較しつつ考えることができますし、仮に利益額の成長率を仮定したとしても、成長後の利益額で考えるとどれくらいなのかを考えることもできるので大体の感覚をつかむときにこの考え方をします。(厳密に考えると、リスクプレミアムをどれくらいで見積もるかとか考え始めるときりがないので、あくまで大体の水準感の把握ですね。)

テクニカル投資に近い分類でメジャーなスタイル

ここでは、モメンタム投資とリバーサル投資について説明します。この2つは株価の値動きに注目するということでテクニカル投資と性質がかなり近いです。重要なのは投資対象のボラティリティ(変動率)の見積もりと、期間をどの程度の期間でみるかの設定だと考えてます。

~モメンタム投資~

日本語で勢いといった意味がある単語の通り、株価が一度動いた方向に継続的に動くことを前提とした手法です。例えば1か月の値動き率が特定の値以上の銘柄ならばロングポジションをとることや、逆にマイナスが大きい銘柄に対してショートポジションをとるような戦略になります。

トレンドフォロー戦略などはこのモメンタム戦略と同じですね。一方で何%動いた場合にトレンドと判定するのか、その期間をどれくらいにするのかはそれぞれの人の工夫で異なります。一定期間の高値安値の更新であるブレイクアウトをトリガーとする場合も存在します。

下の記事では過去の6か月間の値動きを見て上昇し続けた株は、次の6~18か月に市場全体と比較して優れた利益が出るという学術研究があると記載されてますが、うしぐま的にはもっと細かくみると銘柄特性との組み合わせで、銘柄群によって効果的な期間は異なると考えています。

モメンタム投資 - みんかぶ(マガジン)
投資用語「モメンタム投資」の説明です。これから投資を始める方、投資について勉強中の方はぜひご覧ください。

~リバーサル投資~

こちらはモメンタム投資の逆ですね。普段のボラティリティ(値動きの変動率)と比べて著しく強く動いた場合に、その値動きの反転を狙う戦略です。例えばロスカットが連鎖しているような時など、特定の銘柄がパニックになった時などにワークさせるようなイメージが強い戦略ですね。

もちろんこちらもどの程度の期間と、どの程度の値動きがあれば反転することを期待して勝負するのかはそれぞれの人の工夫で異なります。

業種別投資、テーマ株式投資

ここではディフェンシブ銘柄や、景気循環株などといった話を扱います。事業特性上の特徴ということで分類としてはファンダメンタルズ投資に近いと思いますが、業種単位の値動きが反映される期間や、その動きが起きるようなイベントを見極めるという観点からはタイミングの見極めが重要となる投資手法だと考えています。

ディフェンシブ銘柄は食品系やインフラ関係の事業など、景気の変動の影響を受けにくく、事業の業績が景気変動の影響を比較的受けにくい企業のことを指します。

それに対して景気循環株は、鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業や工作機械などの設備投資関連などの銘柄が該当します。

テーマ株式は、その時のビジネスの流行や、特定の産業の規模が著しく拡大していくことが予測された際に、関連事業を持つ企業が同じような値動きをすることがあります。近年ではDX系のテーマであったり、EV関連の企業が一斉に同じような動きをすることがありました。

直近ではCHATGPTの採用などを公表した企業がまとめて動いたりしていたため、今後の動きによっては1つのテーマとして扱われていく可能性があります。

うしぐまは業種単位の特性が反映されるような大型株というよりは個別企業の業績での動きが反映されやすい小型系の銘柄メインで戦うか、マクロ経済全体のボラが反映される株式指数での仕掛けが中心で、あまり業種単位で勝負を仕掛けることはないですが、明確に業種単位ではっきりした動きが出るシーンがあることは認識しています。

大型株、小型株の分類

ここでは大型株と小型株の分類って何でするのかって話や、その分類をした際にそれぞれどのような特性があるのかということについて扱います。

その企業のサイズは時価総額で分類されます。基本的に時価総額が大きい企業は株式指数の値動きの影響も受けやすい代わりに、すでに企業規模が大きいこともあり業績自体が急激に動くことも小型株より少なく、日々の取引金額も大きく流動性が高いため、終日ストップ高やストップ安になり売買が一切できないなんてことは生じにくいです。

有名企業での勝負をする際には常に株式市場全体の値動きも把握しておくことを強くお勧めします。

対して、時価総額が300億円未満の小型株と呼ばれる企業は株式市場全体の動きを無視して、業績そのものの動きでトレンドを作るような事象が散見されます。(もちろん市場全体の影響を受ける場合もありますが)

事業が急成長をしはじめた企業や、損益分岐点を超える売上高を計上し、コスト構造上急激に利益額が伸びて化ける企業なども出てくるため、株価が動く企業はものすごい勢いで動くことがあります。その代わり、誰も見ていない企業の場合取引している人が少なさ過ぎて、買値と売値のスプレッドが非常に大きくなっている場合がありますので、日々どれくらいその企業が取引されているのかも把握して取引をすることをお勧めします。

まとめ

今回は知識記事ということで株式投資の手法の区分について取り扱いました。

前編の記事の冒頭でも少し触れましたが、投資をする人の正確と特定の投資手法の相性というものは確かに存在します。自分でやってみて、なかなかルールを守って続けられない場合や一貫性をもって取り組めない手法であるならば、よりやりやすい方法を自分なりに試すのも1つの手ではないでしょうか。

自分が普段取り組んでいない手法でも、そーゆうやり方が存在することを知ることで、自分以外のプレイヤーが何をきっかけに勝負を仕掛けていくのかを理解することは1つの参考になるかと思います。

ちょっと説明だらけで長くなってしまいましたが、読んでいただいた方にとって何かしらの参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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