定期的に出てくる企業不祥事ですが、うしぐまは調査報告書を読んでその企業で起きていたドラマを想像するのがわりと好きです笑 グレイステクノロジー社とかあーゆうのを読むと、こみあげてくるものがありますよね??えっ、ないって??
今回はキティちゃんで有名なかのサンリオ社の売上操作ということで、その全貌を見ていきます。
今回の記事は以下の目次でいきます。
- 発覚経緯といつから不正が起きていたのか。
- どんな不正を行ったのか?その金額の規模は?
- 不正発生の経緯と個人インタビューの詳細。
- 株価にどんな影響出ているの?
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8136/tdnet/2252437/00.pdf

発覚経緯といつから不正が起きていたのか。
2023年1月16日、サンリオのライセンス営業本部において、A氏より取引先のa社に対する売上未計上金額がある旨、社内会議にて報告があった。このa社事案により期をまたいで未計上となっている売上があることを認識。
2023年1月25日、実際にa社事案が行われた可能性が高いということで、調査チームを組成し事実解明を開始。
2023年2月9日、サンリオは、臨時取締役会を開催し、特別調査委員会を設置することを決定。また、特別調査委員会の設置について適時開示を実施。
調査により取引先b社,c社でも同様の売上未計上問題があることが判明。その他にも調査された取引先はあるみたいですが、今回はこの3社の事案を見ていきます。
ということで発覚は2023年1月16日の社内会議ということですね。具体的な時系列があると生々しくて、どんな気持ちで報告したのかとか登場人物の心情を想像しちゃいます。わくわくしてきところで詳細を見ていきましょう。

不正がいつから行われていたのか、a,b,c各社の事案を見てみましょう。
~a社~
2020 年3月製造分から、計算期間及び記入日が空欄の状態で、「ロイヤリティ報告書」が a 社からサンリオへ送付されるようになった。
~b社~
b 社事案における売上の期間帰属の操作は、b 社担当グループにおいて、15 年以上前から継続されていた。本調査では、以下のとおりその開始時期を相当程度限定することはできたものの、具体的な開始の経緯を確認するには至らなかった。
~c社~
2022 年1月頃、商品化企画の打ち合わせ等において、c 社の担当者に対して、c 社がサンリオに送付する「ロイヤリティ報告書」について、ロイヤリティの計算期間及び記入日を空欄とするように依頼した。c 社の担当者はこの依頼に従い、サンリオに対して計算期間及び記入日を空欄としたまま「ロイヤリティ報告書」を送付するようになった。
おいおいおい、b社だけ15年前からって随分とまぁキャリアが長いことで笑
それでは次に結局何をやっていたのか見ていきましょう。
どんな不正を行ったのか?その金額の規模は?
~a社~
報告書を読んでいくと、どうやらa社は製品を製造販売しており、その製品にキャラクターとかの使用許可を得る対価としてサンリオにロイヤリティを支払っていた形みたいですね。
業務フローの確認。
①a社がサンリオにロイヤリティ報告書を送付
②サンリオがこの報告書に基づきa社に請求書を送付
③a社は請求書に基づき決済を行う。
①の時点でa社の報告書は計算期間及び報告書の記入日を空欄にして提出され、ここの売上金額をサンリオの担当者が自分たちの予算にとって都合のいい日付を記載して、請求を行う形だったみたいです。
ちなみに、この未請求のロイヤリティ報告書は部内の誰でもみれる表計算ソフトのファイルに「管理表」としてまとめられており、上司から指示を受けるたびにここにあるリストから必要な売上金額に近い未請求のロイヤリティ報告書を選んで、管理部に回付するにあたって不自然のない日付を記入していたようです。まぁ、サラリーマンは上司に逆らえないからしゃーないよね笑
金額規模は未計上額が2022年12月末時点で90百万円とのこと。サンリオの2022年3月期の売上は52,763百万円なので金額的にはまぁって感じですね。

~b社~
基本的な手口はa社と同じみたいですね。管理状況も同じような感じだったみたいです。
金額規模は未計上額が2022年12月末時点で11百万円とのこと。

~c社~
a 社事案における不正手法の踏襲なんて見出しがあるくらいなので同じ手口です。
金額規模は未計上額が2022年12月末時点ではないとのこと。

しかしながらなぜこのような不正が起きてしまったのでしょうか?
次が調査報告書を楽しむ醍醐味である経緯とインタビューの内容です!!
不正発生の経緯と個人インタビューの詳細。
不正発生の経緯は、製造販売は月によって波があるのに対して、サンリオのライセンス営業部の予算目標が月次単位の管理であり、毎月予算を達成するために、プールとしていつでも売上を計上できるようにするインセンティブが存在していたってことみたいですね。
a社事案が起きた元A営業部のGM(部長かな?)のD氏はわりとフォーカスして取り上げられているので、D氏のインタビュー内容やD氏に関する発言を抜粋してリアルなサラリーマン事情に思いを馳せていきましょう。
p34 イ 売上操作を行った目的より抜粋
また、本調査では、D 氏(以下「D 氏」という。)の担当する A 営業部の SM (シニアマネージャー)及び営業担当者の複数名が、当委員会からのインタビューに対して、D 氏が、各月の予測に対して少ない売上実績となった場合のみならず、売上実績が予測を上回った場合であっても、ライセンス営業本部の各 SM を叱責するなど、売上の実績が予測に近接することを各 SM に対して強く求めていたとの旨を述べている。そして各 SM は、D 氏からの要求に応えるため、各月の売上の実績を各月の予測に近接させるよう苦心していたと述べている。
売上実績が少ない場合のみならず、予測を上回った場合でもライセンス営業本部の各SMを叱責するなどってところが大手日本企業って感じしますね笑笑
図表でも太線のA営業部だけ、予算と実績の一致率が100%できれいに推移しているのが笑えます笑(えっ、笑い事じゃないって?)

P37 イ D 氏についてより抜粋
D 氏は、a 社とのライセンス取引が報告ライセンス方式に切り替わった当時、a 社・c 社担当グループの GM であったが、a 社とのライセンス取引において売上の期間帰属の操作を行っていたことを認識していないと述べている。
えぇ、D氏は知らんかったって言っているみたいですね。しかしながら調査書には以下のやり取りが認識していた可能性を窺わせる事象として取り上げてます。
部下から D 氏に対して、「12 月がどうしても苦しいです。a 社を使っても心許ない状況です」とのメッセージが送信されており、これに対し同日、D 氏は、「いまから 12 月、ガッツリ詰めていく感じだね。」と返信しており、取引先を「使う」という部下からのメッセージに対して特段の疑念をさしはさむことはしていない。また、部下から D 氏に対する「a 社海外分で補填しました」とのチャット上のメッセージに対し、D 氏は「プラスということ?」と返信し、こちらも特段の疑念をさしはさんでいない。
D 氏が A 営業部の GM を務めていた時期において、D 氏を CC に含める形で、「b 社で調整しました」と記載されたメールがやり取りされているほか、D 氏から部下に対するメッセージで「b 社の貯金分も入れてマイナスになったの?」との記載がなされている。D 氏の部下は、当委員会からのインタビューに対して、これらはいずれも該当するライセンシーからのロイヤリティ収入について、売上の期間帰属を操作する趣旨のやりとりであることを認めている。また、D 氏の部下のうち複数名が、D 氏に対して特定のライセンシーについてロイヤリティの未計上分をどれだけ売上として計上するかについて報告をしていた旨を述べている。
あれれ~??おっかしいなぁ。部下は報告していたという話もあり、なかなかD氏の言い分は苦しいですね。なんで偉い人って自分が認めなかったり記憶にないといえばなかったことにできると思っているんでしょうかね??とはいえ、部下の立場では、おかしいと思っていてもおかしいといってはいけないこともたくさんあるんでしょう。

うしぐまは調査報告書の個人の具体的な発言の抜粋とか読むと小説感があって楽しめますね。
昔の報告書より発表されたてほやほやのやつの方がよりライブ感があって好きです笑
株価にどんな影響出ているの?
そんなサンリオさんですが、、、3/16日に発表された決算は、、、、


えっ、、めっちゃ強いやん、、

株価も不祥事発生分を巻き返す上げということでストップ高ですw
結局金融市場では金をちゃんと稼ぐことが正義なんですねぇ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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