【現状把握】SVB 破綻に見る市場の動き。地銀に対する影響。

SVB 破綻に関連して、下記の目次で記事を書きます。

  • シリコンバレー銀行とは?
  • なんで経営破綻したのか?
  • このニュースが持つ意味を投資家目線で考える。
  • 国内市場の反応を覗いてみる。

2022年の3月から米国中銀のゼロ金利政策解除からちょうど1年

現在の政策金利は4.75%と過去の金融市場を振り返っても異次元のスピードで利上げが行われてきた1年でした。

思ったより大きなショックも起きず、2022年の年初からの折り込み下げの方が勢いが強かったかなぁなんて感じていた矢先にSVB破綻、シグニチャー・バンク、シルバーゲートキャピタルも事業停止ということでわずか1週間に3行が破綻しました。

さらにクレディスイスグループにまで経営不安が連鎖し、クレディ・スイスの筆頭株主が追加出資の可能性を否定したことをきっかけに混乱が終日生じたことから、世界的に株安の流れになりました。

シリコンバレー銀行とは?

 アメリカで資産規模が17~18位ほどの銀行で実額2,100億ドル程度とのこと。(日本円で28兆円)

 あくまでざっくりなイメージ感ですが、日本国内銀行の総資産でいくと7~8位でふくおかフィナンシャルグループやコンコルディア・フィナンシャルグループくらいのサイズ感ですね。

どんな感じでチャートが崩れたかを見ると、おお、すげぇな。。(これ普通に株持ってたら恐ろしい。。)

SVB Finacial Groupの株価日足

なんで経営破綻したのか?

そもそも銀行のビジネスモデルは預金者のお金を預かって、それを企業に貸して、金利で稼ぐというのが本来のビジネスです。

シリコンバレー銀行なんて名前からもスタートアップ系の企業が顧客として多い特徴があった同行ですが、スタートアップ企業に貸したお金が返ってこなくて破綻したわけではないです。

預かっていたお金から利息を得るために債券投資をしていたことが、BS上のHeld To Maturity Securitiesの残高の拡大からわかります。ほぼ6倍ですね。(12/30/2020: 16,592,153→12/30/2021: 98,195,000)

SVB Financial Group (SIVB) Balance Sheet - Yahoo Finance
Get the annual and quarterly balance sheet of SVB Financial Group (SIVB) including details of assets, liabilities and shareholders' equity.

大量の資金を債券に投資しているところに急激な利上げが行われた結果、債券価格が下がり含み損が発生(満期まで保有できれば額面でお金が返ってきますが、途中で売ってしまえばその時の価格で売らないといけません。)

このタイミングで預金を預けていた人達からのお金の引き出しが来てしまい、結局払えるお金がないので破綻したということですね。

満期まで預金の引き下ろしが待ってくれればいいのですが、いまお金をおろしたいという人が殺到すると、その人たちに払うお金を用意するために債券投資に回していた資金を現金に変える必要があります。

しかし、いま債券を現金に変えてしまうと含み損が発生しているので、結局預けられた預金すべてを支払うことはできない状態になっているということですね。

このニュースが持つ意味を投資家目線で考える。

真っ先に思うことが、これ、、SVB特有の問題なのか、それとも構造的な問題なのだろうかということでした。

そもそも、銀行がなぜ預かった預金を債券投資に回しているのか、特に流動性(短い期間における現金換金性)が低く価格変動リスクの大きい満期が長い債券を保有していたのかを考える必要があります。

原因は低金利の期間が10年以上続いており、今後も低金利が続くと多くの人が考えていたことです。

米国の政策金利はリーマンショック以降2009年頃から2016年頃まで0%近い水準で推移しており、2017年から政策金利を2019年にかけて2.5%まで上げたのですが、その後のコロナショックを期にまたゼロ金利政策に戻しました。

中央銀行が利上げを当面しないことを前提とすれば、銀行としては企業に貸し付けても金利が低いため、量的緩和を背景に余ったお金を少しでも利回りが高い債券(満期までの期間が長く流動性が低い債券)に投資するのは理にかなった行動といえるでしょう。

このような背景で債券投資額が増えたところに今回の急激な利上げが起きた結果が経営破綻につながったということですね。

あれ、、、これってどこの国の銀行でも状況は同じなのでは???

米国だけでなく世界の中央銀行が低金利政策や量的緩和を行ってきた直近10年、特に日本は異次元緩和の筆頭ですね。日本国債なんて日銀が買い続けた結果市場機能が損なわれているなんていわれている始末です。

日本の銀行のBSを見ていくことでも確認できそうですが、私募の投資信託という形で海外債券などに投資するってのがよくあることなので、業界データを見に行きましょう。

私募投資信託の残高推移をみれば国内銀行がどんだけ放り込んでいるかがわかりそうなもんだなってことでそこを見てみます。

統計データ - 投資信託協会
私募投信残高データからざっくり作成しました。

うん、、、アベノミクスで本格的な量的緩和が始まったのが2013年頃、そこから日銀のマイナス金利が始まったのが2016年の頭とかだったのですが、めっちゃくちゃ純資産総額増えてますね。。。

2013年2月が純資産総額33.7兆円→2023年2月純資産総額109.1兆円

上のグラフからも2015年から2018年末くらいまでは設定額が解約額よりも大きく上回っていて、償還額が継続的に大きいという話でもないので、それなりにお金がつぎ込まれているのが読み取れます。

私募投信の中身が必ずしも海外債券とは限りませんが、、どっかが大量に米国債券を買い込んでて、表面化していないだけでアメリカ利上げのダメージを抱えている可能性は全然ありますね。

国内市場の反応を覗いてみる。

ざっくり動きが分かればいいので、国内の地銀系で資産額大きい銘柄の値動きを見てみましょう。

やはりめちゃくちゃ警戒されてますね。

市場全体が売られてますが、変化率で比較するとやはり地銀系は警戒されてそうです。

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